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ネブラスカ フライトスクール 髙橋 悠大さん - 航空業界専門の求人サイト「航空人WEB」

ネブラスカ フライトスクール 髙橋 悠大さん

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今回ご登場いただくのは、高校留学先のアメリカで友人が操縦するセスナに乗ったことを契機に、アメリカでパイロットへの道を歩もうと決めた髙橋 悠大さん。
現在はフライトインストラクターとして、母校の生徒たちにパイロットになるための知識と技術を教えている。パイロットの夢を叶えるための航路は、国内にとどまらず海外にも拓かれているのだ。

photographs by Yoshii Kosuke

取材協力:NCN米国大学機構

月刊エアライン2021年1月号(11月30日発売)より転載

takahashisan今年3月に卒業し、8月にはフライトインストラクターとなった髙橋さん。在学中の2019年夏にはインターン生として、グアムで遊覧飛行のパイロットも経験した

Q:仕事内容を教えてください。

 ネブラスカ フライトスクールのフライトインストラクターとして、ネブラスカ州カーニー空港で主に母校の生徒を対象に教えています。業務内容は大きく分けてふたつ、フライトトレーニング(飛行訓練)とグランドトレーニング(学科講習)です。飛行訓練ではウェザーブリーフィングやフライト前の機体点検であるプレフライトも生徒と一緒に行ないます。天気が悪く飛べない時間は、飛行に必要な知識をレクチャーする学科講習に充てることもあります。さらに、生徒がソロフライトできるかどうかを判断するのもインストラクターの大切な仕事のひとつです。

 完全シフト制で生徒と話し合って訓練時間を決めるため、勤務形態は日によって異なります。週末は朝7時半から夜の8時まで、訓練としては5回分を飛ぶこともあります。

Q:この仕事を志したきっかけはなんですか?

 母の母国であるフィリピンを訪れるために飛行機を利用することが多く、小さい頃からパイロットに興味がありました。決定打となったのは高校の頃、留学先のアメリカ・インディアナ州において友人が操縦する二人乗りのセスナ機(セスナ152)に乗せてもらったことです。身近な友人が飛行機を操縦できる事実に驚いたと同時に、自分も同じように飛行機を飛ばしたいと思い、その勢いのままアメリカの大学で航空学を学ぶことを決意。さらに在学中に様々なパイロットと話す中で、飛行経験ゼロの人を一から育てるフライトインストラクターという職に興味をひかれ、この仕事を選びました。

takahashisan訓練機のセスナ172で空港南西の練習空域に向かう途中、ホームタウンであるカーニーの街を眼下に望む。ネブラスカ州は真っ平な土地柄、朝一番のフライトでは地平線越しの朝焼けをコクピットから見ることができる

Q:日頃どういったことを心がけて業務に取り組んでいますか?

 フライト中の一つひとつの判断、操縦時の細かい調整にも明確な理由を持ちながら飛ぶようにしています。

 安全にフライトするということは、パイロットにとってとても大切なことです。正直なところ、飛行機も車と同じように、飛ばしていくうちに慣れが出てきます。そこを自覚し、どれだけ理由を持って適切に判断しながら操縦できるかという点でフライトの安全性が変わってくるのだと思います。

 人はなんでも初めが肝心です。これから一流パイロットを目指す生徒のみなさんには安全なフライトを届けられるパイロットになってもらいたいので、この点を特に指導するようにしています。

 

takahashisan機内での会話に必要なヘッドセットは、パイロットにとって大切なアイテム。髙橋さんはそのヘッドセットケースにパイロットライセンス、インストラクターライセンス、FAA第一種航空身体検査証明を入れて携帯。フライト前に免許を確認しつつ気合を入れているという

Q:今後の目標を教えてください

 目下の目標は、現在教えている生徒全員が1年以内に自家用免許を取得できるようにサポートすることです。そのためにも知識や教習テクニックに磨きをかけていきたいと思います。今後は計器飛行訓練や双発機訓練を教えることができるライセンスの取得も目指したいですね。

 長期的な目標としては飛行時間2,000時間を達成し、インストラクターで培った知識と飛行技術を活かしながら、航空需要が高まるアジアの国々でエアラインパイロットとして貢献したいと思っています。

Q:航空業界を目指す学生さんへ

 目指すものが明確な方は、妥協をせずにその目標に向かって努力してください。目指すものがまだ明確でない方は、小さなことでもいいので、興味があるものに没頭してみてください。努力する過程で失敗したり、やりたいことや夢が変わったりしても、それは努力の末の答えなのですから、ポジティブに受け入れることができます。そういう過程を経て自分自身で納得のいく職種を見つけて、航空業界で羽ばたいてくれたらなと思います。

 いくつかの小さなゴールを設定し、それを達成することでやる気と自信をつけながら大きなゴールを目指して頑張りましょう。

 

編集後記

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 平日は早朝に1回訓練をしたのち、5時間の休憩を挟んで夕方から2回訓練を実施するなど、生徒たちの授業時間にあわせて勤務時間を調整する苦労もあるようですが、「フライトインストラクターが他のパイロットと違う点は、自らも飛行機を飛ばしながら、生徒たちの飛行技術や知識の成長を見届けることができる点です」とやりがいを語ってくださった髙橋さん。将来的にエアラインパイロットとしてアジアの国々に貢献したいという目標に向かい、フライトインストラクターとしての技術や知識を磨こうとする前向きな姿勢が印象的でした。

 アメリカには、髙橋さんのように若くしてフライトインストラクターを務める方がたくさんいます。パイロットを将来の目標にしている方は、パイロットになるためにはどんな方法があってどれが自分に向いているのか、リサーチしてみることも大切です。

今回お話をうかがった方

ネブラスカ フライトスクール
フライトインストラクター
髙橋 悠大さん

takahashisan

2016年、NCN米国大学機構のサポートのもと渡米、ネブラスカ大学カーニー校に入学。在学中にFAA自家用ライセンス、事業用ライセンス、双発機操縦資格、計器飛行証明、インストラクターライセンスを取得。2020年春に大学を卒業後、8月からネブラスカ州カーニー空港において母校の生徒を中心にフライトインストラクターを務める。

 

【リフレッシュ方法】

オフ時間は音楽を聞いたり軽く昼寝をしたりしてリラックスしながら次のフライトに備えています。休日は趣味の筋トレや陸上のハンマー投げに没頭。パイロットは体のケアも大切ですので、体力向上に努めています。

 

【座右の銘】

「努力は無限大」
高校卒業まではパイロットと接点もなく、私にとっては現実感のない遠い存在でした。それでもパイロットになりたいという強い気持ちを持ち続けて努力した結果、今があるのだと思います。訓練は決して簡単ではないため、思うようにいかず落ち込む生徒もいますが、諦めずに努力することを忘れないようにと声を掛けています。

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